任意売却とはどのように行われるのでしょうか?

高く家を売るための任意売却(その2)でも解説しました通り、競売に持ち込まれると経済的、心理的な負担があまりにも大きいです。

従って、住宅ローンの返済が不安になったら、まずは返済先の銀行へ相談することが重要だと解説しました。

それでも、返済が非常に困難だと思われるのでしたら、住宅を売却するという選択肢もあります。

査定の結果、住宅ローンの残債が残らなければ何の問題もありません。しかし、100%ローンさらに諸費用まで借入れを行っていますとほぼ100%残債を抹消することができません。

その場合は、任意売却を実施することを前提で専門家に相談されることをお勧めします。

この専門家を誰にするかが非常に重要です。借金と不動産に関することですから、不動産鑑定士、ファイナンシャルプランナー、あるいは不動産会社、場合によっては弁護士・・・などと考えられる方も多いですが、任意売却で最も重要なのが「一体いくらで該当不動産が売れるのか?」が重要です。

債権回収会社(サービサー)を納得させられる価格でないと任意売却ではなく競売となってしまう可能性があります。

従って、不動産売買の仲介に長けた不動産会社では、役不足です。不動産取引に精通しているのは、当然のこととして、法律や金融の知識も不可欠となりますので、任意売却に精通している専門家に相談することが非常に重要です。

なお現役時代、私が任意売却の相談を受けた時は、以下の手順で進めていました。

①相談者との面談
②現状分析
③対象不動産の実査定
④売却に関する専属専任媒介契約の締結
⑤債権回収会社(サービサー)との配分交渉
⑥売却活動
⑦売買契約の締結
⑧代金決済ならびに抵当権の抹消
⑨引き渡し

以上の流れで進めていくことになります。

①相談者との面談

現役時代、私は以下の3点を重視して面談を行っていました。

① 現状把握⇒なぜローン返済が出来なくなったのか。
② 借金の状況⇒住宅ローン以外の債務も把握。
③ 今後の展望⇒今の住宅に住み続けるか?転居するか?

まず①について解説しますと、なぜローン返済ができなくなったのか?についてですが、「会社にリストラされたのか?」「給与ダウン?」「仕事ができない状況になったのか?」「親の介護や子供の教育費などで家のローン以外での出費が増えたのか?」

返済ができなくなった事情さらに家計の収入と支出に関しても詳細に把握します。

次に最も重要なのが、住宅ローンの滞納状況や税金も滞納しているのか?

さらにマンションであれば管理費や修繕積立金などの滞納があるか?や住宅ローン以外でもキャッシングやカードローンなどの借金がないか?を含めて借金の合計を算出します。

この時、「なぜ住宅関連以外の借金も把握する必要があるの?」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。

これ実は深い理由があります。「私は、単に任意売却がうまくいけばそれで良い。」という考え方はあまり好きではありません。任意売却後の生活の立て直しを一緒に考えてあげることがとても重要なことだと考えています。

また、今の家に住み続けたいのか?などについても伺います。私の仕事方針としては、任意売却という選択をされた方の希望を第一としてこれらが実現可能かどうか?を1つづつ検証していくスタイルとしていました。

任意売却後の生活についても相談したい方は、こちらの無料一括査定サイトを活用すれば、売却後の生活についても相談に乗ってくれる不動産会社が多数登録されていますのでご利用をお勧めします。

なお、面談時に用意しておいた方が良い書類としては、住宅ローンの返済がわかる償還表やキャッシング、カードローンなどの返済予定表を用意していてください。

他に住宅購入時の売買契約書、重要事項説明書、新築物件であれば各種パンフレット等も併せてご用意ください。

面談時にご注意いただきたいのが、「見栄をはろうとして嘘をつく」人が時々いらっしゃいますが、嘘をついたところで後からわかりますし、何より余計な時間を費やすことになります。

高く家を売るための任意売却(その2)でもお伝えした通り、任意売却は時間との勝負です。

進行上の不利になることは極力控えることが重要です。

②現状分析

私は現役時代、任意売却も行っていましたし、何より不動産業者でもありますので、実は相談者と面談する前に、対象不動産のおおよその査定。

つまりいくらで売却できるのか?がわかっています。

その中で、ご自宅へ訪問した際に実査定を行うことで、より正確な売却可能価格がわかります。

ただし、面談時に「家を売却したくない。住み続けたい。」との希望がある方も実際にいらっしゃいます。

その場合、「本当に返済ができない」のか?を検証します。現在の収入と返済との比率を算出して、30%以内であれば問題ありませんが30%を超えると明らかに返済自体が厳しい状況になります。

この場合、今は厳しくても将来的に返済できそうであれば、銀行へ返済条件の変更や当面は利息だけの返済にしてもらう。あるいは、住宅ローンの返済先が2件以上ある場合は、借り換えという選択もあります。

いまだに、住宅金融公庫+年金福祉事業団融資+銀行の3本の住宅ローンを返済している方がいらっしゃいます。1本化するだけでも相当変わります。(任意売却は時間との闘いです。こちらの住宅ローン一括申し込みサイトを活用すれば最大650万円の節約に成功した事例もあります。ぜひ、借り換えをお勧めします。)

しかし、既に滞納状態がある場合、銀行側では返済見直しの相談に応じてもらえないケースがありますので滞納前に相談することが非常に重要です。

私は、基本的に返せないけど住み続けたい人の場合は、返済条件の変更や借り換えで対応可能であれば、無理に売却を勧めることはしません。

今は苦しくても将来的に返済できそうであれば「今の家に住み続ける」という選択肢も有りです。

③対象不動産の実査定

面談の結果、任意売却しか選択肢が無い場合は、周辺相場等を勘案して実査定を行い査定価格を算出します。

この時、非常に重要なことは、任意売却の場合、通常の売却活動とは異なり、売却期限が決まっている関係上、迅速に売却活動を行う必要があります。

また、①債権回収会社(サービサー)が納得する価格、②売却期限までに確実に売れる価格。この2つの条件を満たす必要があります。

もちろん、売却時は1円でも高く売りたいのですが、売却が成立しないと競売になってしまいます。かと言って売れないからと言って、勝手に値段を下げても債権回収会社(サービサー)が納得しません。

確実に売れる価格で債権回収会社(サービサー)が納得する価格で了承を取りに行きます。

なお、売却価格は残債額とは一切関係ありません。3000万円の残債があって、1200万円でしか売れない不動産であれば、1200万円で納得してもらえるよう交渉することになります

ほとんどの債権者は、競売よりも高く売れる金額であれば、納得してくれますが、稀に市場価格以上で要求してくる債権者もいるため、粘り強く交渉します。

債権者も素人ではありませんので、数社から査定を取った上で、あまりにも安い場合は、却下される可能性もあるため、お互いの査定をうまくすり合わせて売却価格を決定することになります。

「不動産売却の営業力」「債権者への交渉力」この両方を併せ持つ不動産会社の選定が非常に重要です。

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あるいは、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の方であれば、売主の利益を100%守ると宣言している不動産会社へ依頼するのもよいでしょう。

1都3県以外の愛知県、大阪府、兵庫県、京都府の方は、こちらの不動産会社も断然お勧めです。

現役時代の仲間が多数在籍していますので、売却で失敗することはありません。安心して利用して欲しいです。

売却に関する専属専任媒介契約の締結

実査定が終わり任意売却の意思が固まりましたら不動産会社と専属専任媒介契約を締結します。

不動産の媒介契約は3種類あり、一般的には専任媒介契約が選択されます。

この専任媒介を選ぶと売主が見つけた買主と契約することが可能になりますが、専属専任媒介契約ではそれはできません。

理由は、任意売却という限られた期限内で確実に売却するためには、私が売主の代理として、任意売却後の債権者との配分調整や売買に関する全ての交渉を代行する必要があるからです。

また、任意売却を実施する売主は、住宅ローン返済が滞っているだけではなく税金の滞納等で差し押さえが入っている際は、自治体等との交渉も行う必要があるからです。

通常の売買よりも手順等が異なってくるため、専属専任媒介契約を選択していただきました。

なお、任意売却でも媒介契約の期間は3ヶ月以内と定められていますので、3ヶ月以降は更新という流れは通常の売買と変わりません。

【参 考】

⑤債権回収会社(サービサー)との配分交渉

専属専任媒介契約の締結後、債権者である債権回収会社(サービサー)との交渉は私が全て代行することになります。

流れとしては、まず債権者側に「任意売却の申出書」「専属専任媒介契約書」を送り「債務者の依頼を受けて私が任意売却を担当します。」と宣言することからはじまります。もし、抵当権者である債権者が複数いれば全員に同じ連絡をします。

次のアクションとしては、いくらで売却できるのか?査定報告書を送り売却価格の交渉を行います。

1番抵当のみであれば、1債権者のみの合意を取れば問題ありませんが、複数の抵当権が付いている場合、全ての抵当権者の合意を得る必要があります。

競売になれば配分がほぼ無い2番抵当以下ですが、抵当権を抹消するための承諾料代(20~30万円)で諦めているところは、「わかりました。」と事務的に処理をしてくれます。

厄介なのが、競売になっても2番抵当以下で配分が無いにも関わらず、「この売却価格では認められない。」「社内で稟議を上げるため売却価格だけではなく止む無く抵当権抹消承諾料を得た。ことにするシナリオを考えて欲しい。」など非常に厄介なことを言ってくる抵当権者もいます。

この売却価格の設定と各抵当権者への配分が任意売却の交渉を行う不動産会社にとって腕の見せ所であり、経験と実力がモノを言います。

従って、通常の不動産売買取引以上に任意売却を行う際は、不動産業者の選定が非常に重要です。

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⑥売却活動

さて、全債権者からの合意を取った後に、実際の売却活動を行います。

任意売却物件であっても通常の売却活動と何ら変わりはありません。

一般物件と同じ用にレインズへ登録しますし、売却物件としてチラシに掲載したりもします。

広告を見ても任意売却であることは、わかりませし、差し押さえ前であれば謄本を見ても競売物件だということもわかりません。

任意売却であろうが一般物件と変わらない状況で売却活動を行えます。

ただし、実際の購入希望者が現れた時は、「この不動産は任意売却物件である。」という事実を伝えます。

理由は、売主が瑕疵担保責任を負うことができないからです。瑕疵担保責任とは、売った後に隠れた瑕疵(雨漏り、白蟻等)があれば、売主が補修責任や損害賠償を負担することを指しますが、任意売却の際は、免責としてもらいます。全てが現状有姿での引き渡しとなります。

売却活動の際に売主側に協力いただくことは、購入希望者が現れたら案内に立ち会っていただくだけです。

最終的には、前述の「瑕疵担保が免責」になることと。「任意売却物件の場合、債権者との合意が取れないと白紙解約」になる旨の特約を売買契約書に明記します。これによって、契約違反にならないよう売主側を保護すると同時に買主側へも任意売却であることがわかります。

しかし、私の経験上、「瑕疵担保が免責になる」から購入を希望しない人はいましたが、「任意売却だから購入しない。」と言われたことは今だかつて一度もありません。

通常の不動産売却の手続きと何ら変わりません。

【参 考】

⑦売買契約の締結~配分金の最終調整

さて、買主が決まりますと売買契約を締結することになります。

売主側、買主側双方の不動産会社が立ち会い、決済日等を決め手付金を受領することになるわけですが、任意売却ですので売主側には手付金を渡すことができません。

売主側の業者が預かる形式として、「債務超過であり保全のため手付金は媒介業者が預かります。」と契約書に明記します。

さて、契約の締結が完了しましたら、決済日までの間に配分金の最終調整を行うことになります。

具体的な手順としては、必要経費(仲介手数料、抵当権抹消の登記費用)を差し引き1円単位で配分金の最終調整を行います。

この時、仲介手数料と抵当権抹消の登記費用は、必要経費として認められますが、引っ越し代を経費として認めてくれるかは、交渉相手によって変わってきます。

配分金は、1番抵当権者から配分していき、1番が完済できれば、2番抵当権者が交渉相手になります。

売買契約前に大筋では合意していますので、引っ越し代の見積もりを提出して認めてもらえるよう交渉します。

ちなみに、現役時代に私が携わった案件では、6割程度は、1番抵当権者は完済できていましたので、必要経費の交渉相手は、2番抵当権者が多かったです。

⑧代金決済ならびに抵当権の抹消

売買契約締結後は、買主が住宅ローンを組む場合は、融資承認が出る1ヶ月後を目安に残代金の決済を行います。

決済時には、買主、売主双方の不動産業者の他に全債権者との手続きを行う司法書士が一同に集まります。

この時、残代金の精算を行うと同時に抵当権の抹消や競売の取り下げ書類等を司法書士に手渡すことになります。

司法書士は、その足で法務局へ書類を持ち込み抵当権の抹消と所有権の移転を同時に行います。

通常決済場所は、ローンを利用する買主側の銀行で行うケースが多いです。

また、債権者には、必要経費の領収書コピーも手渡しますので、引っ越し代を必要経費と認められた場合は、添付が必須となりますので、保管しておくようにしてください。

さて残金決済の方法ですが、通常の取引であれば売主の口座へ入金されますが、任意売却の場合、買主からの残金は各債権者に分けて入金されます。

「どこにいくら分けて入金してください。」と細かく指示出しを行いますので買主側の決済銀行で行うケースがほとんどです。

⑨引き渡し

決済が終了すれば、その場で物件の引き渡しを行って終了となります。

現役時代、私は通常の不動産売買取引以外でも任意売却のお手伝いをさせていただきましたが、「競売よりも任意売却にして正解でした。」という感想が大半でした。

理由は、引っ越し代程度とはいえ、配分金がもらえることと、競売で追い出されるのと、自ら任意売却を行うのとでは、再生するにしても大きな違いがあるからです。

私は元業界人ですから、「競売」と言われても悪い印象はありませんが、一般の人から見ると「競売」というと、まだまだマイナスイメージが大きいようです。

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