4-1 正しい境界で登記されていますか?

不動産を売却するためには、いろいろな手続きがあります。

それぞれの問題についてきちんとクリアされていなければ買い手にとって損なことが多いので、不具合が生じると売却話がうまくいかなかったり、場合によっては買い手が付かないこともあります。

この項では特に売買上のトラブルが多い原因について、事前の対策法を説明します。

まず一番多いのは正しい境界が登記されていない事。これは主に昔からある町の古くから居住されている物件に散見される状況です。

増築や工作物の建築などで、その便宜上隣地の所有者と話し合い合意をして、隣地を侵すような形で増築部分や工作物が立っている状態。

書類を取らずに登記も変更していない事(口頭承諾と言います)が多く、後々トラブルになる事が多いようです。

確かに昔から顔なじみのお隣さん同志では問題がないのでしょうが、土地の所有権にかかることですので時を経てその物件が相続されたり売買によって所有者が変わったりした時には、大きな問題になります。

こういう問題を事前に解決するのに一番いい方法は、口頭承諾をした当人同士が再度協議をして、その境界について登記の変更をする事です。

しかし口頭承諾をした当人が双方揃った状態で協議を出来るケースは非常にまれで、現実には相続人が隣地の現所有者と協議をし、場合によっては境界を越えている部分を売買して再登記する事が多いです。

全項で説明した通り、土地の価格と言うものはその所有者が自由に決定できます。隣家がどうしてもと言う場合に限っては、相場の話ではなかなか片付かない事が多いので注意が必要です。

4-2 面積は公簿と実測で同一ですか?

これも前項で触れた内容ですが、新しく購入した土地ではない場合、その登記上の面積(公簿面積)と現在の技術できちんと測量をした面積(実測面積)は異なっている事が多く有ります。

もし公簿面積が実測面積を大きく上回る場合、公簿面積で物件を購入した人は損をすることになりますし、課税価格においても余分に税金を支払う必要が生じます。

逆に下回る場合は、売却をする売主が損をする事になります。

これも実際に物件を売買することにおいて非常にネガティブな要素であることはもう皆さまわかって頂けるでしょう。

もし相続した物件が実測再登記をしていない場合、測量をし直して正しい地積を登記しておくことで、初めてその物件が売却のテーブルに乗ると理解しておいてください。

4-3 リフォーム箇所の点検

物件に使用可能な古家が付いている場合、この古家にも価値がある状態にしておく事が、物件を少しでも高く売却するために必要不可欠な準備です。

実際に価格相場と言うものは、躯体、内外装、設備ともに十分使用可能なものと言う前提で構成されています。

現状ではともすれば目的外物件と言う扱いを受け、地価相場から建物の解体代を引かれてしまうケースもしばしばあります。

誰だって使い古した内装や水回り、古ぼけた外装の建物を中古で購入してこれからの長い人生をそこで過ごしたいとは思いません。

現在新築で主流となっている仕様とまでは言わないにしても、やはり使い勝手や見た目に優れたリフォームを施すことが、古い物件をうまく売り抜けるコツと言えるでしょう。

売却価格をよく理解した上で損をしない程度の予算を組んで、プロの業者に丁寧なプランニングをお願いしておけば、思わず息をのむような素晴らしいリフォームが出来ることでしょう。

4-4 相場を正しく理解しよう

相場についてはこの特集の中で何度も触れていますが、不動産の値段は売主が自由につけることが出来るため、不用意な値付けによって売主買主だけでなくその近隣で不動産の売買をこれから行う人や、しいてはその地域の生活環境にまで深刻な影響を与えてしまう可能性のある問題です。

物には何でも適正な価格があります。売れ残りを防ぐためにも正しい相場を知ることは需要な事であると筆者は思います。

全項に触れた通り、評価証明書や近隣の売買事例、土地総合情報システムや全国地価マップなど、身近にあるものを使って得ることが出来る情報をしっかりと収集し、正しいゴールを定めた上で売却の準備を進めましょう。

4-5 今一度、必要書類をまとめよう

そして最終的にすべての事項が出そろった時点で、売却に当たり必要な書類をまとめておきましょう。物件の内容を理解し、必要な事前の対策を施した後で売却に必要な書類が揃います。

必要な書類を箇条書きにまとめてみましょう。

ア.不動産登記権利情報(権利証)※現在電子登記が主なので、必要でない場合もあります。

イ.登記簿謄本(土地・建物)

ウ.公図、地積測量図、建物図面

エ.固定資産税評価証明書(最新年度のもの)

カ.建築確認済証

キ.筆界確認書(所有権境界について正確な協議をし、合意した場合)

ク.相続人の合意書(実印押印・発行後3か月以内の印鑑証明書添付)

ケ.所有者の住民票(発行後3か月以内)

コ.リフォーム仕様書・図面(出来ればそれぞれの商品のパンフや見積書も添付する)

最終的にこれらの書類が揃い、その内容について実際の姿と相違ないことが確認出来れば、初めてそこで物件売却に取りかかることが出来ます。

4-6 まとめ

不動産を売却するテーブルに乗せるまでには非常に面倒な、場合によってはお金のかかる準備が必要になります。

このような物件を所有している方、もしくはこれから相続する予定のある方に関しては、出来れば被相続人、相続人全ての方が元気なうちにこれらの準備をしておくことを筆者はお勧めします。

筆者は業界に身を置く長い間に、上記のようなトラブルで大損をした人、取引が不当になった人、ひどいケースにおいては物件を使用することも処分することも出来ず毎年の税負担に悩まされながら物件が朽ちていくのを放置せざるを得ないケースも見ました。

近年空き家問題がクローズアップされる中でこのように使用も処分も出来ない物件に対し税を重加算するという事もほぼ確定しています。

古い話で当人もこの世に存在しないとなればその問題はますます複雑で、交渉は難航することが目に見えています。筆者が不動産取引のお手伝いをする上で一番嫌な、目を覆いたくなるような人の汚さを目の当たりにする場面を引き起こす問題です。

せめてこのコラムを読んだ人だけでも、そのような泥仕合を回避することが出来ればよいと心からお祈りさせて頂きます。

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