3-1 相続人は何人いますか?

不動産の所有権は、その所有者全員が同意していないと移転できません。

持ち分によってその所有権が分割されることの多い相続不動産において相続人が何人いて、その所有権をどのように扱うかを協議し同意を取っておくことは最低限の必要事項です。

それを怠ってしまった事により所有権の移転登記が不可能になり、放置せざるを得なくなってしまった不動産が現実日本国内にたくさんあるのも動かしがたい事実です。

代々相続されている不動産に至っては、相続を受けた時点でその所有権が何筆かに分筆されている場合もあります。

持ち分所有者が死亡している場合はその法定相続人に所有権がありますのでそこでも協議、同意が必要です。

正確な相続人の数や連絡先を把握し、その協議のテーブルに着くべき権利者が何人いて、その法令上の割合がどのくらいあるのか、またその相続人は権利を行使するのか放棄するのかどちらが有利なのかなどを総合的に勘案し、内容について詳細に取りまとめておくことが相続財産の適切な処分に向けて重要なファーストステップになると言えます。

3-2 分筆か、代表相続か?

協議のテーブルに着く人々が揃って議題の一番に話し合うべき事は、その物件をどのように処分するかにほかなりません。

まず相続物件の行きつくゴールを設定し、それに向けて必要なことについて話し合い、各人の利益、損害について想定されるすべての内容について十分に協議して全員が疑義の無い形で決着しない事には。物件をうごかすことが不可能になるからです。

売却するのか、相続人の代表者が住居として引き続き使用するのか、相続人全員が所有権を持って収益を分配するのか、そのケースに応じて無理なく、また大きな損害を特定の相続人が被るようなことの無い様、各人に平等な対応ができる方法を考えましょう。

税制上でも様々な優遇措置があり、ケースによって税制上の要素を含めながら考えることも、相続を有利に進める上で大切な事です。専門家の意見も取り入れケースに適した方法を模索することも大切です。

3-3 相続物件が元々分筆されている場合

相続を受けた不動産が元々共有で複数に分筆されている場合、相続人はその共有持ち分をさらに法定相続人間で分けて所有することになります。

例えば元の所有権が5筆に分かれていたとして、相続人が4人いたとしたら、その所有権は少なくとも9筆、ほかの所有者が死亡している場合はそこからさらにその相続人と、ネズミ算式に増えて行ってしまうのです。

ケースによって逼迫度は異なりますが、売却を前提として考える場合所有権が何筆にも分かれている物件は購入者側からすれば敬遠される対象でしかありません。

また、相続人の代表者がその物件を継続使用するにあたっても固定資産税や維持費などコスト面で負担の問題、共有持ち分に応じた受益権も生じますし、売却をする場合の手続きを簡素化するためにもその所有権は一筆にしておくことが望ましいと言えます。

加えて収益物件を相続する場合においてその所有権は、利益を分配される権利(受益権と言います)を確定する根拠になります。その経営に実際関係していない場合でも無視はできません。

物件がもともと分筆されている場合はその現状も鑑みて、適切な対応を考える必要があります。

3-4 リフォームが必要な場合

相続物件を売却するにあたり、改築を含めリフォームが必要な場合があります。当たり前のことですがそれにはコストがかかります。

このコストを特定の相続人が負担するのは不公平であると言えます。協議の際に売却と言う選択肢が出た場合、この負担については法定相続人の間できちんと分ける必要があるでしょう。

具体的なプランをテーブルに挙げて、見積書などをもとにその根拠や負担割合、金額の是非について相続人全員が納得した数字を提起することが大事です。

数社のプランを比較し、最も安価で全員が納得いくプランを採用して後々その費用負担に疑義が生じないようにしておきましょう。

次の項も相続における費用の部分について触れますが、相続とはただ貰うだけの行為をさす言葉ではありません。

それに伴うコストや負債についても、全相続人にその負担義務があり、公平に分配する必要があることを、ここでよく肝に銘じておいてください。

3-5 住宅ローンや管理費の滞納がある場合

マンションを相続するときや、ローン残がある物件を相続するにあたっては、固定資産税やローン残高、管理費、修繕積立金の滞納についても、相続人全員にその負担義務が生じます。

所有権の筆数と同じく、このような負担金は売却を前提とする場合非常に重要なネガティブ要素になります。

負担金と購入金額の合計が相場を上回っていれば、購入者は相場で買える物件を探してそのような負担無く物件を購入する方がお得になるからです。

固定資産税については管轄する役所の税務課、住宅ローンの残高は借入先の銀行。管理費や修繕積立金は管理会社にそれぞれ問い合わせれば、詳細が記入された証明書を交付してもらうことが出来ます。

ただしローン残高に関しては、被相続人が団体信用生命保険に加入していればその支払い義務について免れる事ができるので、権利書類などをよく見た上で手続きについて詳細な方法も調べておく必要があるでしょう。

3-6 まとめ

いくら血を分けた身内とはいえ、それぞれに自身の生活や経済事情があり、ひとくくりに決まった割合での相続と言うわけにはどうしても行かないことが多くあります。

かといって法に定められている相続の割合を完全に無視してしまうと、その権利を根拠におぞましい身内争いが繰り広げられるというのも世の常です。

相談を受けるプロは大半のケースにおいて相続人の身内ではありません。

その感情的な部分や各々の関係性についてとやかく言える筋合いはなくても、ある程度その関係性に入り込んで適切な指導をする必要が生じます。

これを素直に聞き入れることが出来る相続人はめったに存在しません。なので相続はおおかたのプロが元来関わることを嫌がる分野でも正直言ってあるのです。

ですから他人の介在が困難な部分については相続人自らが先行して積極的な協議を交わし、そのガイドラインについておおかたの方向性を定めた上で、実務的な部分に関してプロに任せることが、問題を解決するうえで重要な要素であるとは言えます。

本コラムの内容を読み解き、読者の皆さんが相続について必要な要素を確実に捉え相続人間の絆をもって円満に解決する努力を惜しまない姿勢を身に着けて頂ければ、相続の手続きは思っているよりも簡潔で、何よりスムーズに処理することが出来る問題であることを筆者はプロの一人として確信しています。

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