早めの準備がスムーズな取引につながる。相続不動産の売却ノウハウ

①はじめに

近年の終活ブームに乗り、財産の相続について必要な準備や内容などについてのご相談を受ける機会が増えています。

一生涯を暮らした現世とのお別れは、いつ起こるか解らない不測のライフイベントであり、いかなる財産においても相続の方法や手続きは煩雑で、相続人の間で十分な協議をし、全員が納得する必要があります。

財産を残す方、遺した財産を受け取る方が皆揃っている状態でそれらをどう分割し、処分するかの準備をする事は現代において何も嫌らしい話ではありません。

本コラムでは諸々の財産の中でも特に手続きが面倒な相続不動産について、その売却に至るまでに必要な準備について説明します。

②相続不動産のことを知ろう。

まず一番最初に必要な事は、相続不動産の姿を捉え、よく理解をしておく事です。特に古くからの財産として残っている不動産には、筆者の経験上様々なトラブルの種が潜んでいます。

過去に筆者が実際目の当たりにした、物件の概要を、現所有者の方がよく理解していなかったことで契約が破談になってしまったケースにおける原因を列記します。

ア.土地の面積が、登記簿謄本と実測で異なる

これは旧来の測量技術が原因であることが多く、現在の正確な測量法によって生じる問題です。

実測し、正しい地積を登記する必要があります。

イ.所有しているはずの土地が、隣地に食い込んでいる

何代も続いている物件にありがちで、隣家との境界を協議で定め、登記した後何代も経たことで正確な境界が分からなくなっている状態です。

隣家と筆界協議をし、正しい境界を定めた上で再登記する必要があります。

ウ.建物が未登記

これも古い建物によくある問題で、場合によっては増築部分、ひどいケースでは建物1棟丸々が登記されていない事もあります。

建築確認済証が無い場合が多いので、最悪の場合建物を解体しないと売り物になりません。

エ.所有権が何筆にも分かれている(その所有者の中にも、既にお亡くなりの方が居る)

相続をした時点で登記簿謄本を見てびっくり。中には今では全く御縁のない、遠い親戚や第三者が所有権を有しているケースもあります。

所有者がなくなっている場合はその法定相続人全員にも同意を取り、所有権を放棄または売却してもらう必要があり、手続きは困難を極めます。

このようなトラブルが発覚すると第三者に物件を売却するにあたり障害になるどころか、売却が不可能になるケースもあります。

物件の見た目や謄本の内容だけでは見えない部分について正確な現状を把握する事が、スムーズな取引の最重要課題であると言えます。

③相続人すべての間で十分協議をし、相続物件のゴールを設定する

相続について、メディアを通じて大方の人が持つイメージは、「揉める」事。

実際その場にならないと解らない事なので、うちに限ってそんな事はないだろうと思われる方が多くいらっしゃいます。

筆者も早くに父を亡くし、大した遺産などありませんでしたがそれでも葬式が終わった後、親戚がたくさん家に来て相続について面倒な話をしなければならない羽目になりました。

法定相続人が複数いる場合、遺った財産をどの様に処分してどう分けるのかは、それぞれの事情により主張が異なります。

場合によっては売却を反対する相続人もあるかも知れません。土壇場になって反対されてしまうと泥仕合になってしまうので、十分に協議をした上で相続人全員が同意し、足並みをそろえておく必要があります。

④相続から売却にかかるコストの計算も忘れずに

近年ではよくご存じの方もいらっしゃいますが、財産を贈与される場合、相続する場合でその動きに対しかかる税金が大きく異なります。

物件の規模やその用途において、生前に処分してお金に換えた上で贈与するのがいい場合、法定相続人の代表者を1名選んで相続し、住居として継続使用するのがいい場合と、そのケースにより有効な対策はさまざまです。

また、売却するにあたり実測や建物未登記に対応する場合、修繕リフォームが必要な場合もあります。相続とは貰うものだけを指す言葉ではありません。

同時にそれに伴う負債を引き継ぐ必要がある事を覚えておきましょう。

⑤必要な事項をまとめ、書類を取っておこう

ここまでの全項をクリア出来たら、それにかかる具体的な手続きに必要な書類をまとめておきましょう。

出来れば相続人全員が協議をした場で、ひな型については取っておいた方がよいと思います。

実際にそれらを使うことが先の話になるという事でもありますし、いつ起こるか解らない不測の事態への備えであるため、全員の都合が付かず、書類の提出に手間がかかるケースも考えられます。

出来れば事前に、司法書士や行政書士などに相談して取りまとめて貰っておくとよいでしょう。

登記上の問題が起こっている場合についても然り、これらの処理をどのタイミングでどのように行っておくかを決めておき、登記変更の準備もしておく必要があります。

⑥まとめ

いかがでしたか?

相続には法定相続人全員の利得や時には生活に重大な影響を及ぼす損害が生じる可能性など、家族の絆だけでは消化できないセンシティブな要素が複雑に絡みます。

それに対応する為の知識や方法を理解するなら、世の中のすべての人が司法書士になれるでしょう。

とにかく一から十までややこしい話や手続きの連続です。第三者が入っていけない家族の絆や利得にかかる部分を十分話し合えば、あとは中立的な立場のプロに任せるのが一番安心です。

コラムを一読頂いた皆様が、自身の相続に対し必要な事項を理解し、正確にプロを使ってスムーズに売却する目的を果たすことが出来れば、筆者として幸いに思います。

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