任意売却のメリット、デメリット

それでは、任意売却のメリット、デメリットについて解説したいと思います。

皆さん「競売」と聞くとイメージが良くなくて「なんとなくイヤだ。」そう思われる方がほとんどだと思います。

私はこの業界に20年近く在籍していましたので、「競売」と言われても「良いイメージも悪いイメージ」ともに持ち合わせていません。

しかし、不動産の売買は、一生にそう何度もあることではありませんので「競売」と聞くとあまりよくないイメージがあるのも事実です。

住宅ローンが支払えなくなり破綻すると、競売によって自宅を失うことになります。

しかし、この時、「どうせ家を失うのであれば、競売も任意売却も同じだ。むしろ競売によって裁判所が勝手に家を売り払ってくれるんだから楽だし、任意売却と違って面倒な債権者との交渉もしなくて済むから、競売の方が良い。」

このような考えの方が時々いらっしゃいますが、これは非常に大きな間違いです。何も私は、任意売却によって仲介手数料を得たいから任意売却を勧めているわけではありません。

任意売却と競売とでは、その後の生活再建に関して非常に大きな差が出るからです。

それでは、任意売却を選択したことによるメリットについて競売と比較しながら解説したいと思います。

①家が高く売れることで、債務を圧縮することができる。

任意売却の最大のメリットは、家を高く売却することができることです。

よく勘違いされる方で多いのが、「競売によって、自宅を処分すれば、借金が無くなる。」と思われている人がいますが、「借金は無くなりません。」

競売によって、債権者の抵当権は強制的に外れますが「借金が無くなる。」ことはあり得ません。当然、債権者への返済が続きます。

なお、競売の基準価格は、市場価格の60~70%程度でしか売却できません。

また入札時は、市場価格の50%程度からの開始となるため、よっぽどの売れ筋物件であれば良いのですが、大多数の普通の物件では市場価格よりも安い価格でしか落札されません。

特に競売を選択すると競売の開始決定から落札まで半年程度の期間がかかります。これによって、代位弁済を行った保証会社へ落札までの間、残債務に対して年14.6%の遅延損害金が加算されます。

さらに、競売の申立て費用も加算されます。金額については、債権額によって異なりますが、私の経験上、数十万円~数百万程度の費用がかかります。

この費用は、債務者の代わりに債権者が立て替えているに過ぎません。当然この費用も請求されます。

一方、任意売却を選択するとほぼ相場通りの市場価格での売却が可能になります。

当然のことながら、1円でも高く家を売ることができれば、住宅が無くなったあとの残債を圧縮することができますので、断然任意売却の方が有利です。

②立て直しのための引っ越し代も捻出可能です。

将来の債務圧縮だけでなく、任意売却を選択することで、債権者へ引っ越し代(30万円程度)を認めてもらうこともできます。

自慢ではありませんが、現役時代に私が担当した案件は100%の債権者が引っ越し代を認めてくれていました。

引っ越し代とは言っても売買代金から経費として捻出しますので、その分残債が残ってしまいますが、競売を選択すると引っ越し代など1円も認めてくれません。

なお、居座れば落札者が出ていって欲しいため引っ越し代を出すケースもありますが、ほとんどの落札者はプロ業者ばかりですので、居座ったところで強制退去をさせられるのがオチです。

その場合は、勝手に荷物などを運び出されて、保管先の費用を請求されることになります。

また、任意売却の際は、「瑕疵担保が免責」になるのと「売買契約書へ特約を明記」しますので、買主側には任意売却を行っていることがわかります。

私が現役時代、10件中1件くらいは親切な買主さんがいて、売買代金とは別に引っ越し代を出していただけたという大変ありがたい例もあります。

③売却後の返済計画も相談できます。

任意売却を行い家の売却に成功してもローン完済できなければ、残債が残ります。その場合、売却後にどうやって返済していくか?が非常に重要となります。

私が担当した案件を例に出すと、決済直前で今後の返済計画について、債権者、債務者双方の話し合いの場を設定していました。

こうすることで、債権者に生活の状況(リストラによる失業、親の介護)を把握いただく機会を設けます。

これによって、無理のない返済計画を立てることが可能になります。場合によっては、毎月1万円程度の少額返済で決まることも多々ありました。

一方、競売でも残債返済の相談を行いますが、誰も間に立つ人がいませんので自分で交渉するしかありません。

また、任意売却と違って競売を選択することは、「借金返済に関する努力を行わなかった。」ことを意味しますので、正直、債権者への印象はあまりよくありません。

任意売却を選択していれば、少額返済が認められる可能性があったにも関わらず厳しい態度で望まれたため、結局自己破産などの債務整理を行うしか選択肢が無いケースを非常によく見てきました。

売却後に再起を図りたい方は、任意売却されることをお勧めします。

任意売却に長けた業者を選定したい方は、こちらの無料一括査定サイトを活用すれば、私が現役時代に在籍していた会社も登録されています。ぜひ活用をお勧めしたいです。

任意売却のリスクとは?

このように解説すると「競売を選択することのメリットってないの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、唯一あるとすれば落札されるまで住んでいられることくらいです。

当然のことながら、前述の遅延損害金が発生し続けることになりますので、残債が雪だるま式に膨れあがっていくことになりますが・・・

それでも開き直って「何かあれば自己破産すればいいや。それよりも1日でも長く住みたい。」という破滅的思考の方であれば、それでも良いと思います。

「ただし、いずれにしろ必ず出ていかなければ、いけない。」わけですので、その辺りをよく考えた上で競売を選択する必要があります。

それでは、任意売却のリスクについても解説しておきたいと思います。

任意売却の選択は、住宅ローンを滞納して期限の利益の喪失が到来しない限り任意売却で家を売ることができません。

住宅ローンはその商品の性質上、30年、35年の分割でローンを返済できます。しかし、期限の利益を喪失しますと一括での返済を求められることになります。

この期限の利益の喪失は、住宅ローンを6ヶ月滞納すると債権者が銀行から保証会社に移ります。そうなりますと、保証会社から一括での返済を求められることになります。

この段階に入らないと任意売却で家を売ることができません。

6ヶ月も住宅ローンを滞納すると個人信用情報機関に異動情報(いわゆるブラックリスト)として記録されます。

これによって、ブラックリストが消えるまでの間は、クレジットカードや家電製品の分割払いを申込みしたとしても審査に落ちる可能性が極めて高くなります。

私の個人的な考えになりますが、任意売却を選択する際は、あくまでも最終手段であって、今売却に出して残債割れであったとしても数百万程度の資金を足せば売却可能。であれば数年後まで待つという選択もありだと思います。もちろん、住宅ローンを滞納していないことが前提になります。

任意売却を選択するということは、意図的にローンを滞納する必要があります。ローンを滞納すると前述のブラックリスト入りが確実になります。

ブラックリストに入ったとしてもキャッシングなどの借入やクレジットカードを取得できない可能性があります。

あと少し資金を足せば売却が成立するのであれば、数年待ってから売却を行うか?無担保で借入れを行って残債を抹消する方法をお勧めします。

一方、既に滞納が始まっている人は、前述の期限の利益の喪失まで時間の問題ですから、任意売却に入ることを視野に入れられることをお勧めします。

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