パークシティLaLa横浜の偽装問題は決して他人事ではありません。

パークシティLaLa横浜の偽装問題は、分譲マンションに住んでいる人全員が共通認識として「マンションに住むことの宿命」として理解しておいた方が良いでしょう。

連日のニュース等で多くの方もご存知だと思いますが、西棟の6本の杭が支持層に届いておらず、2本が支持層に届いていたものの深さが不十分でありこの8本を含んだ合計10本について、施工データが偽装されていた問題です。

私は、元大手マンション開発業者出身でしたので、「起こるべくして起こった」問題だと考えております。

最も罪深いのは、杭打ち工事を担当した旭化成建材や旭化成建材に工事を発注した三井住友建設であり、分譲主の三井不動産レジデンシャルはある意味、被害者と言っても良いでしょう。

通常、分譲主はゼネコン(三井住友建設)側との、施工に関する打ち合わせは行いますが、ゼネコン側の下請け企業(旭化成建材)とは接点がありません。

しかし、三井不動産レジデンシャル側にも落ち度が無いとは言い切れません。工事を担当したゼネコンを三井住友建設に選定したことが運の尽きと言えるでしょう。

本件から姉歯マンション事件を思い出された方も多いと思います。今回のように同じ建築基準法違反であっても、姉歯の場合は、分譲主であるビューザーが積極的に偽装に関与していましたが、三井不動産レジデンシャルは関与していません。

さて、三井住友建設というと、一般の方から見ると三井住友銀行、三井不動産などのような日本を代表する超メジャー企業のグループ会社という印象を持たれていると思います。

その認識は正しいです。

しかし、ゼネコンとしては飛島建設、熊谷建設、東急建設などの準大手ゼネコンという位置づけです。いわゆる売上高1兆円を超えるスーパーゼネコン(鹿島、大成建設、清水建設、大林組、竹中工務店)には遠く及びませんし、今後もスーパーゼネコンと肩を並べることもないでしょう。

なぜ、スーパーゼネコンではなく準大手に工事を発注したかと言いますと利益率を重視してゼネコン選定したのがよくわかります。

当然のことながら、準大手のゼネコンは、スーパーゼネコンよりも工事費が安いです。

なぜ、スーパーゼネコンより準大手の方が工事費が安いか?と断言できるかと言いますと私が所属していたマンション開発業者は、親会社がスーパーゼネコンです。

親会社がスーパーゼネコンだからと言って、親会社へ工事を発注していたかと言いますと答えは「No」でした。

理由は、簡単です。スーパーゼネコンを施工会社に選定していては、採算が取れないからです。

親会社だからと言って工事費は安くはならないのです。それが、スーパーゼネコンのブランドと言うことなのでしょう。

私が担当していた物件では、準大手あるいは中堅どころが工事を担当していました。

特にマンションは、ゼネコンにとりまして、利益率が良くないため大手になればなるほど施工したがらない特徴があります。

ここに今回の傾きマンション事件の真相が隠されているのではと思います。施工主(三井不動産レジデンシャル)としては、工期や建設費を圧縮したい思惑は当然あります。私も現場の一担当者として、この考えには理解できます。

通常、杭を打つ前にボーリング調査といって、地盤の強度を調べます。今回、傾いた西棟には52本の杭で建物を支えるわけですから、その全ての箇所でボーリング調査を実施しなければなりません。

ボーリング調査は深さにもよりますが1か所20万円かかると想定すると52か所で1,040万円かかるのに対して、20か所だけだと400万円で済む計算となります。

「全地点ボーリング調査しないと、どうなりますか?」といったご質問を頂いた際の回答としては、支持層が平坦なら問題ないのですが、今回のように、支持層に窪み(凹部)があると、杭の長さが不足します。

話をシンプルにすると、例えば支持層のC地点、D地点、E地点の3か所があるとします。C地点とE地点の支持層が15メートルとわかったため、その中間地点のD地点にも15メートルの杭を打ったとします。

しかし、実際は、支持層の深さが25メートルだったとすると、杭の長さが10メートル不足することになります。

パークシティLaLa横浜は、まさにこの状態を指します。さらに悪質なのが施工報告書に記載されているセメント注入量などのデータを改ざんしたことです。

このように分譲主側からの工期やギリギリの予算でマンションを建設することは、どこかに無理が生じます。今回のように「重要な作業工程を飛ばしてしまった。」ことも十分考えられます。

これは、パークシティLaLa横浜だけでなく、多くの分譲マンションが同じ状況なのではないか?と感じています。

おそらく、どの会社の分譲主(デベロッパー)も「対岸の火事ではなく、明日は我が身」という心境で今回の偽装問題を見ているのではないでしょうか。

当然、杭打ちの施工を行った旭化成建材がけしからんわけですが、今回たまたま表面化しただけで・・・今後、出てくる可能性も否定できません。

そういった意味では、パークシティlala横浜の購入者は非常に気の毒ですし、最大の被害者でもありますが、逆に「不幸中の幸いだった」ことが2つあります。

1.分譲主が業界最大手であり、傾きが確認されたウェストコート(西棟)だけでなくフォレストコート(森棟)、センターコート(中棟)、サウスコート(南棟)の全棟建て替えが行われる可能性が高いこと。

※既に管理組合が機能しているため、5分の4以上の賛成が無いと実現できないのですが、建て替えを行わないと資産価値としても大きく目減りするため、最終的には全棟建て替えになるのではないか?と個人的には考えています。

2.分譲主の三井不動産レジデンシャルは「業界最大手」だけでなく「業界の顔」でもあり「業界の雄」でもあるので倒産の心配がまず無い。

これが非常に大きいです。ちなみに2008年以降に倒産したマンション開発業者です。

アゼル 2009年3月 破産 ダイドーサービス 2009年3月 民事再生
ニチモ 2009年2月 民事再生 日本綜合地所 2009年2月 会社更生
栄泉不動産 2009年1月 民事再生 日本クリエイト 2009年1月 破産
中央興産 2009年1月 民事再生 ダイア建設 2008年12月 民事再生
環商事 2008年11月 破産 モリモト 2008年11月 民事再生
康和地所 2008年10月 民事再生 ダイナシティ 2008年10月 民事再生
日本エイペックス 2008年10月 破産 エルクリエイト 2008年10月 破産
ランドコム 2008年9月 民事再生 シーズクリエイト 2008年9月 民事再生
セボン 2008年8月 民事再生 アーバンコーポレイション 2008年8月 民事再生
丸美 2008年8月 民事再生 マツヤハウジング 2008年7月 民事再生
ゼファー 2008年7月 民事再生 興大 2008年7月 民事再生
ハウジング大興 2008年7月 民事再生 セントラルサービス 2008年6月 民事再生
近藤産業 2008年5月 破産 グレイス 2008年1月 破産

これらの業者が分譲したマンションで今回と同じ偽装が発覚したらどうなると思いますか?

元々アフター保証や瑕疵担保責任は、分譲主から購入者に対する保証ですので、分譲主(デベロッパー)が倒産すると保証が受けられなくなります。

しかし、姉歯問題で保証義務を持つ分譲主が倒産したヒューザーマンションの購入者は、建物に瑕疵などの不具合があっても泣き寝入りするしかありませんでした。

そこで、新設されたのが住宅瑕疵担保責任履行法です。この法律は分譲主が倒産した場合を想定して、分譲主が事前に「一定額を供託」するか「保険に入る」ことが義務付けられています。

マンション購入者にとって、分譲主が破たんした場合でも、金銭的な補償が受けられることになります。(平成21年10月以降引き渡しのマンションが対象)

従って、平成21年10月以前に分譲されたマンションで既に分譲主が倒産していた場合は、どうしようもありません。

今の所、姉歯物件や今回のパークシティLaLa横浜しか表面化していませんが・・・実際はもっとあるのではないか?と考えています。

話をまとめますと、「住宅瑕疵担保責任履行法」以前の分譲マンションで既に分譲主が倒産したマンションにお住まいの方は、注意が必要です。

まずは、自分の家が一体いくらで売れるのか?無料の査定を受けてみて、金額に納得できるのであれば、売り切った方が良いと個人的には思います。

私は、現役時代からマンションの良い面、悪い面の全てを見てきました。結果、戸建てが一番無難という結論となり自宅は、戸建てです。

ぜひ、皆さんも今回の件は、マンションに住んでいれば、誰もが経験するかもしれないリスクだと認識してください。

特に今後は、都心湾岸エリアのタワーマンション購入者も注意しておいた方が良いでしょう。湾岸エリアは、地盤が軟弱なため、支持層までちゃんと杭が到達しているか?等も含めて分譲主や施工業者に管理組合を通して確認されることをお勧めします。

施工ミス&偽装が無いことを祈りたいです。

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